コラム
2024年12月27日
看護医療系専門進学塾の桜芽会です。
ここ数年、医療・看護の現場は高齢化社会の進行や感染症対策など、多くの課題を抱えています。その一方で、看護職の役割はますます重要になり、「人の役に立てる仕事」として幅広い世代から注目され続けています。
本記事では、看護師と保健師を目指す中学生・高校生の皆さんを対象に、給与事情や仕事内容、資格取得の難易度、さらに体力面ややりがいなど、幅広い視点から看護の世界を掘り下げていきます。給与の高さはもちろん大きな魅力ではありますが、給与だけで進路を決めるのはリスクも伴います。自分の人生を大きく左右する決断だからこそ、いろいろな要素をバランス良く見極めることが大切です。
この記事が、将来の道を考える際の一つの参考になれば幸いです。まずは看護師という仕事がどのようなものか、その魅力から見ていきましょう。
看護師という仕事の魅力
看護師の社会的意義
看護師は、医療チームの一員として医師や薬剤師、リハビリスタッフなどと協力しながら、患者さんの心身をケアする専門職です。「人の命を支える」という非常に大きな責任とやりがいを実感できます。病院における患者さんの看護だけでなく、訪問看護や地域活動、介護施設でのケアなど、活躍の場は多岐にわたります。
多様な働き方が可能
看護師の資格を取った後は、病院勤務だけでなく、学校の保健室や企業の産業保健部門など、さまざまな働き方があります。夜勤やシフト制といったイメージが強い看護師ですが、日勤のみで働けるクリニックや健診センター、保健所などもあるため、ライフスタイルに合わせて転職や働き方を調整しやすい点も魅力です。
スキルアップがしやすい環境
看護師は、資格をベースにキャリアアップしやすい職種の一つです。認定看護師や専門看護師といった上級資格の取得を目指せば、給料アップや役職アップにつながるだけでなく、高度な医療現場や教育分野での活躍も期待できます。頑張った分だけ実力が評価されやすいのは、看護職の大きな強みといえるでしょう。
気になる給与事情
本記事では、特に給与にスポットを当てて見ていきたいと思います。看護師は夜勤や残業などが多い分、他職種と比較して初任給がやや高めに設定されているケースもあります。下記データは平均的な数字ですが、地域や施設規模、夜勤回数、経験年数によって大きく変動しますので、あくまでも参考程度にご覧ください。
• 看護師(全体平均):約508万1700円
一般的な病院勤務の看護師全体の平均年収がこのあたりです。新卒時点では400万円前後からスタートし、夜勤の回数や勤務形態によって大きく左右されます。大規模な大学病院や総合病院では、福利厚生も手厚いため、経験を積むほど年収アップを期待しやすいでしょう。
1. 専門看護師:約549万2000円
がん看護や精神看護など、特定の分野で高度な知識・技術を持つ看護師が専門看護師です。大学院修了などが求められるため、取得まではハードルがやや高い一方、給与も高めに設定される傾向にあります。
2. 助産師:約569万9500円
妊産婦のケアや出産の介助を行う助産師は、夜勤や緊急呼び出しなども多く、責任や負担が大きい分、給与水準もやや高めです。看護師免許取得後に助産師教育課程を修了し、さらに国家試験に合格する必要があります。
3. 保健師:400万円後半〜600万円台
保健所や行政、企業、学校など、活躍の場が幅広い保健師。自治体勤務の場合は年功序列的に給与が上がることも多く、役職がつけば500〜600万円台に到達しやすいでしょう。企業の産業保健師であれば、会社の福利厚生次第でさらに高い給与が望める場合もあります。
4. 病院の規模や夜勤回数
同じ職種でも、小規模クリニックと大学病院とでは給与体系が異なります。大規模な病院では夜勤手当や交代勤務手当が充実しており、トータルで見ると高い年収になるケースが多いです。その分、仕事内容もハードになることがあります。
給与だけで決めない方が良い理由
看護師として働くうえで、給与は大切な要素です。ただし、給与だけを基準に職場を選ぶとミスマッチが起こる可能性も否定できません。夜勤が多い部署やハイリスクな分野では年収が高い反面、体力面の負担や精神的ストレスが大きい場合もあります。
また、給与の高い病院や部署ほど、高度な専門知識や実務経験を求められることが多いです。収入と仕事内容はトレードオフの関係にある場合が多く、目先の金額にとらわれず、自分の適性や将来ビジョンと照らし合わせて慎重に考えることが大切です。
仕事の厳しさ、資格取得の難易度
夜勤やシフト勤務の体力面
看護師の仕事は、患者さんの急変や突発的な出来事に対応する必要があるため、24時間体制で動いています。そのため夜勤やシフト勤務が発生しやすく、不規則な生活リズムを強いられるケースが多いです。若い頃は体力で乗り越えられるかもしれませんが、長期的には健康管理が大きな課題となってきます。
精神的な負担
看護師は、時に患者さんの命に直結する判断やケアを求められます。加えて、家族対応や緊急時の対応など、精神的ストレスが高まるシーンも多いです。患者さんの回復を見届けたときの喜びは大きい反面、思うように状態が改善しない場合はつらい思いをすることもあります。「やりがい」と「ストレス」が表裏一体であるのが看護師の仕事の特徴とも言えます。
資格取得の難易度
看護師になるためには、看護系の大学や専門学校を卒業し、看護師国家試験に合格しなければなりません。国家試験の合格率は概ね90%前後と比較的高めではありますが、試験範囲は広く、日々の学習や実習が欠かせません。また、保健師や助産師などの資格を取得する場合は、大学や大学院などにおける専攻科でさらに学ぶ必要があり、受験資格を得るまでの道のりが長くなる場合もあります。
保健師という道も選択肢の一つ
看護師の資格を取得した後、さらに保健師の資格を取得する道もあります。保健師は、病院での看護業務よりも地域や組織(行政機関・企業・学校など)での健康管理や予防医療に携わることが多い職種です。
具体的な働き方と給与
• 行政保健師:地域住民や母子保健、高齢者支援など、公衆衛生の最前線で活躍します。給与は地方公務員か国家公務員としての扱いになり、経験年数に応じて昇給する仕組みが整っている場合が多いです。
• 企業の産業保健師:従業員の健康診断やメンタルヘルス対策などを行い、社員が安心して働ける環境を整えます。企業規模によって年収は大きく異なりますが、500〜600万円前後が目安と言われています。
• 学校保健師:学生や教職員の健康管理を行い、怪我や病気の対処だけでなく、予防教育や健康指導も担います。大規模な大学や私立校であれば、給与や福利厚生が手厚いことが多いでしょう。
看護師と保健師の違い
保健師は、看護師の国家資格に加えて保健師国家試験に合格する必要があります。実際の業務では対象が個人よりも集団(コミュニティ)にシフトし、公衆衛生や地域医療の観点から予防策や啓発活動を行うことが中心です。給与面においては、看護師よりやや高めになるケースが多い一方で、自治体などに勤める場合は配置転換や異動があるため、自分がどのようなフィールドで働きたいかを明確にするのが大事です。
まとめ
ここまで、看護師や保健師を目指す中学生・高校生の皆さんに向けて、給与の実態から仕事の厳しさ、資格取得の難易度までを総合的に解説してきました。最後にポイントをおさらいしましょう。
1. 看護師の給与は高めだが、夜勤やシフト勤務による体力的・精神的負担が大きい場合もある。
2. 専門看護師や助産師、保健師など、追加資格でキャリアアップすればさらに年収アップが期待できる。
3. 保健師は地域や企業、学校など幅広い分野で活躍でき、給与水準も比較的安定しやすい。
4. 看護の仕事は「やりがい」と「厳しさ」が共存する世界。給与だけで選ぶのではなく、自分の適性や将来ビジョンを明確にしてから決めることが大切。
5. 資格取得には大学や専門学校での学び、国家試験合格が必須。特に保健師や助産師などの上級資格は学習量も多いので早めに準備を始める必要がある。
給与は確かに魅力的な要素ですが、看護師や保健師は「人の役に立てる仕事」という大きなやりがいを持つ反面、決して楽な道ばかりではありません。長時間労働や不規則な勤務形態、精神的なストレスなど、厳しい側面も多く存在します。だからこそ、現場で活躍している方々は、達成感や喜びを感じながら働いているのです。
進路を決める際には、まず「自分の将来像」をしっかりイメージしてみましょう。夜勤やシフト勤務に対応できるのか、あるいは地域や企業で健康管理や予防医療に携わりたいのか――。現場見学やオープンキャンパス、大学説明会などを活用して、生の情報を集めるのもおすすめです。
■参考リンク
• 厚生労働省公式サイト
看護師や保健師の制度、最新の医療・公衆衛生関連の情報をチェックできます。
• 日本看護協会公式サイト
看護師に関わる多様な情報やキャリアアップに関する情報が得られます。
将来の自分がどのように社会に貢献し、どのような働き方をしていたいか。その答えは人それぞれです。看護師や保健師という選択肢には大きな可能性が広がっていますが、同時に厳しさも伴います。最終的には給与だけでなく、自分のやりたいことや大切にしたい価値観を軸に進路を選ぶことが、後悔しないためのポイントではないでしょうか。
本記事が、皆さんが将来について深く考えるきっかけとなり、少しでも疑問や不安を解消する助けになれば幸いです。それでは、勉強や学校生活、部活動などで忙しい日々の中でも、時にはゆっくりと「将来の自分」を思い描いてみてくださいね。皆さんの進路選択が、実りあるものとなることを心から応援しています。
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