入試分析/解答速報
2023年12月02日
講評
2022年・2023年の問題と比較してやや難化した。出題内容に関しては、「生物基礎」で変わりはない。生物基礎の範囲から、満遍なく出題されている。
杏林大学の入試においては類題が多く出題されるため、2025年に受ける受験生は、絶対に過去問を解けるようにしておきたい。計算問題に関してはしっかりと解法を理解してから受験に挑もう。
また、確実に正解がとれる問題を選び、解答するのが大事である。例えば、2024年の問100などは選択しないほうが良いだろう。
ホルモンや免疫に関しては、どの年度でも出題が見られる。重点的に時間をかけて、「体内環境」の勉強は優先して行いたい。
近年は出題されていないが、「酸素解離曲線」や「腎計算」なども出題される可能性は十分にあるので対策が必要である。
また「生態系」に関しても注意が必要である。毎年、数問は出題されている。バイオームの具体的な植物名や絶滅危惧種・特定外来生物に関してもある程度暗記してから望みたい。
2023年・2022年に関しても、解答・解説を作成するので、そちらも一度解いてから、確認してほしい。
解答
Ⅰ
問86 ④ 問87 ① 問88 ⑤ 問89 ⑤
Ⅱ
問90 ⑤ 問91 ③ 問92 ② 問93 ③
問94 ① 問95 ⑤ 問96 ⑤ 問97 ① 問98 ②③④ 問99 ③
問100 ①
解説
Ⅰ
問86:④ 問87:①
二本鎖と一本鎖に注意して考えたい。二本鎖中にアデニンが26%あり、一本鎖中にアデニンが10%、シトシンが35%ある。
2023年の問92でほぼ同じ問題が出題されているので必ず得点したい。
また、2022年の問97にもシャルガフの規則について聞かれている。
問88:⑤
誤っている文章を選ぶ問題である。
ヒトゲノムを構成するDNAには、約30億塩基対含まれているので⑤が答えである。
ゲノムについては以下の事柄を押さえておこう!
ヒトゲノム 染色体数:23本 遺伝子数:約2万個 塩基対数:約30億塩基対
2022年の問91に約30億塩基対という選択肢があり、過去問をやっていた生徒はできただろう。
問89:⑤
体細胞分裂の順番を並べる問題である。
d:核内に分散していた染色体が凝縮して、ひも状になる(前期)
a:染色体が凝集して棒状となり、赤道面に並ぶ。(中期)
e:染色体が二つに分離し、細胞の両極に移動する。(後期)
c:染色体が分散しはじめる(終期)
b:細胞質分裂が見られる(終期)
2022年の問93で体細胞分裂のDNA量についても聞かれている同時に確認しておきたい。
Ⅱ
問90 ⑤
単純な物質から複雑な物質を合成することを同化、複雑な物質から単純な物質に分解する反応を異化という。同化の代表例は光合成であり、異化の代表例は呼吸である。また、外界から取り入れた無機物から有機物を合成する生物を独立栄養生物といい、生物が同化した有機物を取り入れる生物を従属栄養生物という。
問91 ③
ATPの構造に関する問題である。ATP(アデノシン三リン酸)は、塩基の一種であるアデニンと糖の一種であるリボースが結合してできた構造に、3個のリン酸が結合した化合物である。DNAの糖はデオキシリボースであり、RNAの糖はリボースであることも押さえておきたい。
問92 ②
ATPがADPとリン酸に分解される際に、エネルギーが放出され、ADPとリン酸からATPが合成される際には、エネルギーが貯蔵される。また、ATPの高エネルギーリン酸結合が二ヶ所であることも押さえておきたい。
問93 ③
0.00084ngから0.83ngを作り出さないといけないので、ATPは平均すると1日に1000回同じ分子が繰り返し使用されていることがわかる。
類題演習をしておこう!
[問題]
(1)
一般に、ヒトの場合、1日に細胞1個当たり約0.83ngのATPが使用されていると考えられている。ところが、細胞内には、ふつう、0.00084ngという微量のATPしか存在していない。
これは、ATPが分解されても再びADPとリン酸からATPが合成されるという反応をくり返しているためである。このことから考えて、ATPは1日に何回、くり返して使われることになるか。
最も近い数値を次の①~④のうちから一つ選べ。ただし、1ng=1×10-9gである。
① 100,000 ② 10,000 ③ 1,000 ④ 100
(2) (1)に関連して、ヒトのからだが60兆(6×1013)個の細胞からできていて、すべての細胞でATPの消費量が同じであるとすると、1日におよそ何kgのATPを消費することになるか。
最も近い数値を次の①~⑤のうちから一つ選べ。
① 5,000 ② 500 ③ 50 ④ 5 ⑤ 0.5
[解答]
(1) ③ (2) ③
問94 ①
誤っている文章を選ぶ問題である。
組織液とは毛細血管から血しょうがしみ出たものであり、リンパ液は組織液の一部がリンパ管に入ったものであり、リンパ球を含む。そのため、同じ液体成分ではない。よって、①が誤った文章である。
問95 ⑤
誤っている文章を選ぶ問題である。
⑤「原尿に多く含まれるタンパク質は、集合管で再吸収される。」まず、血液は糸球体からボーマンのうにろ過される際に、タンパク質と血球はろ過されないそのため、原尿にはタンパク質は含まれない。
よって⑤の文章が誤っている。また、集合管で水が再吸収されることは知っている生徒が多いが、水は大部分が細尿管で再吸収されることも把握しておきたい。
問96 ⑤
正しい文書を選ぶ問題である。
①血糖濃度の低下は、間脳の視床下部もしくはすい臓のランゲルハンス島で感知するため誤りである。
②胆汁は肝臓でつくられるが、消化酵素は含まれないが、脂質の消化・吸収を助けるため、誤りである。
③アンモニアは、タンパク質の分解によって生じるため誤りである。
④ビリルビンは、赤血球の破壊によって生じるヘモグロビンの分解産物であり、胆汁の成分となるため誤りである。
⑤正しい
問97 ①
誤っている文章を選ぶ問題である。
①のリゾチームは、細菌の細胞膜ではなく、細胞壁を破壊する。
問98 ②③④
①病原体を認識し、細胞表面に抗原提示する細胞は、樹状細胞やマクロファージがあげられる。
⑤抗体はB細胞が活性化してできる抗体産生細胞(形質細胞)から産生される。
⑥ナチュラルキラー細胞に分化するのは、造血幹細胞から分化する。
⑦形質細胞に分化するのは、B細胞である。
⑧「のみ」という部分が誤りである。
問99 ③
ア:視床下部=コ:バゾプレシンを合成する。
イ:すい臓のランゲルハンス島B細胞=ケ:副交感神経によって分泌が促進される。(インスリン)
ウ:副甲状腺=キ:血液中のカルシウムイオン濃度を上昇させる。(パラトルモン)
エ:副腎髄質=カ:交感神経によって分泌が促進される。(アドレナリン)
オ:脳下垂体後葉=ク:バゾプレシンを分泌する。
問100 ①
ア:ヒトの消費者である。
イ:菌類や細菌は基本的に分解者に分類される。
ウ:土壌は、非生物的環境である。
エ:生産者は、光合成を行えるような植物や植物プランクトンを示す。
オ:「必ず上回る」ことはない。
ホルモンの総整理
ホルモンは,血液によって運ばれます。また、微量で働き、効果が持続的であることを押さえておきましょう。
・脳下垂体前葉
成長ホルモン…成長促進、タンパク質合成、グリコーゲン分解促進(血糖量増加)
甲状腺刺激ホルモン…チロキシンの分泌促進
副腎皮質刺激ホルモン…糖質コルチコイドの分泌促進
・脳下垂体後葉
バソプレシン…集合管における水の再吸収促進
・甲状腺
チロキシン…代謝の促進、両生類の変態促進
・副甲状腺
パラトルモン…骨からCa2+を血液中に溶出(Ca2+濃度上昇)
・十二指腸
セクレチン…すい液の分泌促進
・すい臓のランゲルハンス島
(A細胞)グルカゴン…グリコーゲンの分解促進(血糖量増加)
(B細胞)インスリン…グリコーゲンの合成促進、組織への糖の取り込みと消費促進
・副腎髄質
アドレナリン…グリコーゲンの分解促進(血糖量増加)、心臓拍動の促進(血圧上昇)
・副腎皮質
糖質コルチコイド…タンパク質の糖化促進(血糖量増加)
鉱質コルチコイド…細尿管でのNa+再吸収促進
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