入試分析/解答速報
2023年12月03日
【講評】
2023年度の問題は比較的に解きやすい問題が多かった。出題内容は生物基礎である。細胞から2題・代謝から2題・遺伝子から3題・体内環境から6題・植生から2題である。体内環境に関する問題が数多く出題されている。
全体的に満遍なく出題はされているが、頻出単元に関しては念入りに確認してから挑みたい。また、杏林大学の適性検査は怪しいとおもった問題は選ばないが鉄則である。
2023年度は、問93の問題が解けない生徒が多かったのではないかと思う。最後に、違う年度でもよく似た問題が数多く出題されている。
徹底的に過去問演習を行い、一問もわからない問題がないようにしてから受験しにいくことをお勧めする。違う年度の生物の解答も作成しているので、ぜひ確認してほしい。
【解答】
問86 ④ 問87 ③ 問88 ② 問89 ②
問90 ⑤ 問91 ③ 問92 ① 問93 ③
問94 ① 問95 ④ 問96 ② 問97 ①③ 問98 ④ 問99 ②
問100 ①
【解説】
問86:④
原核生物と真核生物に分ける典型問題である。生物の勉強において、「少ない方を覚えて、あとはそれ以外」という覚え方は鉄則である。
受験生物においては、原核生物は、~菌 と シアノバクテリア(ネンジュモ・ユレモ・アナベナ・イシクラゲ)を押さえておきたい。例えば、菌がつく生物を考えたい。
具体的にあげられるのはなんだろう。大腸菌・乳酸菌・肺炎双球菌・亜硝酸菌・硝酸菌など菌がつくものは、原核生物である。ただ、例外はつきものである。
菌がつくもので、原核生物ではなく、真核生物のものも存在する。それは、酵母菌・コウジ菌・細胞性粘菌などがあげられる。基本的には、酵母菌だけ押さえておきたい。コウジ菌や細胞性粘菌は、看護系で出題されたことはあまりないが、中央大学や北里大学の獣医学部で出題されたことがある。
基本的には、酵母菌だけでとりあえず大丈夫である。「生物」の勉強をしている場合は、「系統・分類」という単元で菌界に関して学習するとより正確な知識を身に着けることができるが、今回は酵母菌は例外として把握しておこう。
問86の問題では、コレラ菌・納豆菌・大腸菌・酵母菌はすべて菌がつくが、酵母菌だけが例外のことを知っておけば解けた問題である。また、シアノバクテリアも原核生物である。
問87:③
誤った選択肢を答える問題である。③に関して、真核生物も原核生物もDNAをもっている。
生物の共通性として、生物は遺伝子の本体としてDNAをもっている。ウイルスは、DNAをもつものもいればRNAをもつものもいる。
このウイルスと原核生物について整理できていない生徒を多くみかけるので押さえておきたい。また、真核生物は核膜があるが、原核生物は核膜がないことも把握しておきたい。
問88:②
呼吸と光合成の反応式である。以下の反応式を押さえておきたい。
「生物」の代謝ではまた違った公式があるが、生物基礎としてはこちらである。
呼吸:有機物(グルコース)+酸素→二酸化炭素+水+エネルギー(ATP)
光合成:二酸化炭素+水+光エネルギー→有機物(グルコース)+酸素
問89:②
誤った選択肢を答える問題である。原核生物は、多くの細胞小器官をもたない。逆にもっているものは、基本的にDNA・細胞膜・細胞壁・リボソームを持っている。そのため、②の選択肢が正しいとすると、原核生物がミトコンドリアをもってしまうことになるので誤りである。
問90:⑤
グリフィスは、ネズミと肺炎双球菌を用いて、R型菌がS型菌に形質転換すると考えた。
エイブリー(アベリー)は、肺炎双球菌とDNA分解酵素、タンパク質分解酵素、多糖類分解酵素などを用いて、DNAが形質転換の原因物質であると考えた。
ハーシー・チェイスの実験に関しても押さえておきたい。ハーシー・チェイスは、バクテリオファージと大腸菌を用いて、遺伝子の本体がDNAであると考えた。
問91:③
誤った選択肢を答える問題である。DNAのヌクレオチドの糖は、デオキシリボースである。RNAとATPの糖はリボースであることも押さえておきたい。
DNAにヌクレオチドは、アデニン・グアニン・シトシン・チミンといった4種類があるため①は正しい。
問92:①
二本鎖と一本鎖に注意して計算したい。二本鎖を100%としてグアニン・シトシンの合計が48%であり、一本鎖を100%として片方の鎖のアデニンが26%、シトシンが22%である。
問93:③
誤った選択肢を答える問題である。一見どれもあっているように見えるが、③の選択肢を見てほしい。
毛細血管を一層の細胞から構成されているのは正しいが、赤血球や白血球が血管外に移動するとあるがこれはどうだろうか。
確かに、炎症を起こした際に毛細血管の血管壁が緩み、好中球や単球は血管外に移動することがあるが、赤血球などは基本的に血管外に移動しないため誤りである。
問94:①
キラーT細胞:樹状細胞の抗原提示によって活性化され、増殖し、抗原情報を認識することで感染細胞を特異的に破壊する。
B細胞:抗原情報を認識後に増殖し、抗体産生細胞(形質細胞)に分化して病原体に対する抗体を産生する。
ヘルパーT細胞:感染した組織内で、マクロファージからの抗原提示を受け、それが自分の型と一致すると、そのマクロファージを活性化させる。
好中球:食細胞の中では最も数が多く、組織内に侵入した異物に対して食作用を行う。
問95:④
自己免疫疾患とは、自己の成分に対する免疫寛容(免疫トレランス)が破綻し、獲得免疫が自己の成分を攻撃するために生じる疾患である。
具体的には、全身性エリテマトーデス・関節リウマチ・重症筋無力症・バセドウ病・Ⅰ型糖尿病・円形脱毛症などがあげられる。よって、④が正解となる。②のアナフィラキシーショックなどは体液性免疫である。
体液性免疫の例は、即時型アレルギーである。食物アレルギーやじんましん、ぜんぞく、花粉症、じんましん、ウイルスなどがあげられる。細胞性免疫の例は、遅延型アレルギーである。
金属アレルギーや漆によるかぶれ、ツベルクリン反応、拒絶反応、がん細胞、ウイルスに感染した細胞などがあげられるので、併せて押さえておこう。
問96:②
誤った選択肢を答える問題である。肝臓は約50万個の肝小葉からなり、肝小葉は約50万個の肝細胞からなるので①は正しい。
小腸などで吸収されたグルコースは、肝門脈を通って肝臓に運ばれるため③も正しい。④⑤に関しても正しい。肝静脈を経て心臓に戻るので、②が誤った選択肢である。
問97:①③
脳下垂体前葉でのホルモン分泌は、視床下部の神経分泌細胞が合成・分泌する放出ホルモンによって調節されているため、①が選べる。また、③に関してはバソプレシンのことを指しており、同じく神経分泌細胞から分泌される。
問98:④
誤った選択肢を答える問題である。ヒトの血糖濃度の低下時における調節機構の問題であるため、④の「交感神経の刺激により、すい臓のランゲルハンス島B細胞からのインスリンの分泌が抑制される。」は誤りである。そもそも、副交感神経によるものであり、負のフィードバック調節をうけるものである。
問99:②
①:前半部分は正しいことが書かれているが、後半部分の「台風などによる倒木した土地など、以前の土壌が残った状態から開始される繊維を湿性遷移という。」は湿性遷移ではなく、二次遷移という。
②:正しい。
③:遷移の初期の低木林に関しては、アカマツ・コナラなどのような陽樹が生育するため誤りである。
④:陽樹による極相林ではなく、陰樹による極相林となる
⑤:林床に光が届くようになると、極相樹種ではなく陽樹が生育する。実際は小さいギャップの場合は陰樹が生育し、大きなギャップの場合は陽樹が生育する。今回の問題は、林床まで光が届くとあるので、大きなギャップと判断できる。
問100:①
「年平均気温が0℃以下の寒冷刺激には、森林がみられなくなり、ツンドラが広がる」
確かに、ツンドラが広がっているのは正しいが、針葉樹林という森林が見られるので誤りである。
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