入試分析/解答速報
2023年12月04日
【講評】
例年通りの出題形式で、出題範囲は生物基礎である。また、生物基礎の中だと細胞が1題、代謝が1題、遺伝情報が3題、体内環境が5題、生態系が5題であった。
例年と比べて生態系が多く、細胞・代謝・遺伝情報の出題が少なかった。体内環境に関しては、例年通り多い。杏林大学の適性検査は、わからない問題は解かないが鉄則。確実にあっている問題を解き、わからない問題は違う科目でカバーすることが大事である。
2023年度・2024年度の解答・解説も作成しているので、ぜひ一度解いてから答え合わせをしてほしい。過去問に似た問題が数多く出題されているので、徹底的に過去問の演習を行ってから受験に挑もう。問題に関しては、杏林大学HPにアップされているので確認すること。
【解答】
問86 ② 問87 ③⑤ 問88 ⑤ 問89 ②
問90 ④ 問91 ①②③④ 問92 ② 問93 ④
問94 ② 問95 ④ 問96 ① 問97 ①
問98 ⑤ 問99 ③ 問100 ②
【解説】
問86:②
生態系の問題であり、誤った文章を選ぶ問題である。「消費者は生産者を摂食することによってのみ」とあるが、一次消費者・二次消費者など消費者にも段階があるため「のみ」ではない。
よって、誤りであると判断できる。他の選択肢はあっているので覚えておこう。過去問に出てきた選択肢と同じ問題や似ている問題は多く出題されているため、念入りに確認しよう。
問87:③⑤
体内環境の問題である。NK細胞(ナチュラルキラー細胞)は、自然免疫で働く。また、体内を循環し、がん細胞や感染細胞を認識して傷害する。
仕組みとしては、がん細胞や感染細胞で共通に発現が変化する分子など認識して攻撃する。食細胞も自然免疫で働くことを押さえておきたい。また、食細胞は3つ覚えおこう。樹状細胞・好中球・マクロファージである。
問88:⑤
代謝と体内環境に関する問題である。
①:ADPは高エネルギーリン酸結合を1つもつ。ATPが高エネルギーリン酸結合を2つもつため、誤りである。高エネルギーリン酸結合が何か所あるかという問題は頻出である。
②:葉緑体は、シアノバクテリアが取り込まれ共生してものと考えられている。よって、誤りである。また、ミトコンドリアは好気性細菌が取り込まれたものだと考えられている。細胞内共生説に関しても、根拠なども含め押さえておこう。
③:二酸化炭素は、赤血球ではなく血しょうに溶け込んで運ばれるため誤りである。
④:哺乳類は、グルコースを合成することができる。
問89:②
細胞に関する問題である。
液胞:内部には糖分が含めれており。またアントシアンが含まれている場合がある。
葉緑体:二酸化炭素から光エネルギーを利用して有機物を合成する。
ミトコンドリア:呼吸によって細胞活動に必要なエネルギーを利用して有機物を合成する。
核:膜につつまれた構造で内部にDNAを含む。
細胞壁:おもにセルロースでできている。
問90:④
生態系に関する問題であり、最も適当な組み合わせを選ぶ問題である。
作用:地球温暖化により生物の生息域が変化する。
環境形成作用:ヒトの生活排水の流入により河川の水質が悪化する。
生産者:光エネルギーを化学エネルギーとして有機物中に蓄える。
消費者:栄養段階の上位ほど個体数が少ないことが多い。
分解者:有機物を取り込み、二酸化炭素を排出する。
環境形成作用と作用を逆に覚えている生徒が多い。注意しておこう。
問91:①②③④
ヒトの遺伝子についての問題である。
ゲノムの説明から入りたい。ゲノムとは、生物がもつ一組のDNAを表しており、生物が必要とする遺伝情報の全てが含まれてる。
ヒトゲノムを例にすると、染色体数は23本であり、その中に遺伝子数が約2万個含まれ、塩基対数としては30億塩基対である。そのため、①②④は正しいことが書かれており、③は遺伝子の本体であるDNAの説明として正しい。
ヒトゲノムは約30億塩基対、DNAの10塩基対の長さを3.4×10-9mであるとすると、ヒトの体細胞(2n)の核に含まれるDNAの合計の長さ2.0mになる。このことから、⑤は誤りである。
問92:②
生態系に関する問題であり、森林・草原・荒原に分けた場合の草原に関する問題である。①に関しては、冬よりも夏に降水量が少ない地中海沿岸と書かれているので、森林の硬葉樹林の説明である。
③⑤に関しては、降水量や優占種であるサボテンから荒原である砂漠と判断できる。④に関しても、降水量と優占種から荒原であるツンドラと判断できる。
草原のステップの優占種はイネ科草本であることも押さえておこう。よって、②が正しいと判断できる。
問93:④
体細胞分裂に関する問題である。
G1期(DNA合成準備期):細胞の成長とDNAの複製準備が行われる。
S期(DNA合成期):DNAが複製される。
G2期(分裂準備期):分裂の準備が行われる。
M期:核分裂と細胞質分裂が起こる。
前期:核膜や核小体が消失する。
中期:染色体が赤道面に並び、紡錘体が形成される。
後期:染色体が両極へ移動する。
終期:核膜や核小体が出現し、細胞質分裂がおきる。
複製の前後でDNA量が変化するため、複製前のG1期のDNA量は「1」複製後のG2期・M期のDNA量は「2」である。よって、正しいのは②になる。
また、問題文の「細胞あたり」に注意したい。「核当たりのDNA量」と「染色体当たりのDNA量」で答えが変わってくる。
問94:②
体内環境の動物ホルモンに関する問題である。内分泌腺には排出管がなく、ホルモンは血液によって運ばれ、特定のホルモンに対する受容体をもっている標的細胞に作用し、フィードバック調節により調節されている。
よって、①③④⑤について正しいことがわかる。②の「1種類のホルモンは1種類の標的細胞にのみ」の のみ が誤りである。
問95:④
生態系に関する問題である。噴火活動が続き、溶岩台地から始まる遷移を一次遷移(乾性遷移)という。一次遷移の初めには、乾燥に強い地衣類やコケ植物が侵入する。
また、それらを先駆種(パイオニア植物)という。よって、①②③に関しては正しい文章である。二次遷移は、山火事・洪水・森林伐採・休耕地・がけ崩れなどのような土壌がある場所から始まる遷移を指す言葉である。よって、④は誤りである。
問96:①
インスリンの分泌は副交感神経に制御されている。この問題は翌年の2023年度の問題にも出題されている。②③④⑤はどれも正しい文章である。すべて把握しておきたい内容になっているので、読み込んでおこう。
問97:①
一本鎖DNA(-AGA GTA AAG CTA GCA TGC GTC AAT TGG CCA-)は30塩基からなる。
そのうち、A(アデニン)が10塩基・T(チミン)が6塩基・G(グアニン)が8塩基・C(シトシン)が6塩基ある。よって、そのDNAから転写されるmRNAのU(ウラシル)は10塩基・A(アデニン)は6塩基・C(シトシン)は8塩基・G(グアニン)は6塩基である。よって、①が選べる。
問98:⑤
誤った文章を選ぶ問題である。一見どの選択肢も正しいように見えるが、消去法なども上手く利用したい。
⑤の選択肢は、特定のプランクトンの増加とそれらを摂食する動物種が増加するため、生物多様性は減少するため誤りである。
問99:③
糖尿病患者は、血糖値が健常者と比べ高くなる。よって、①②の選択肢は誤っている。④に関しては、糸球体からのグルコースに排出は100%であるため間違いである。
問100:②
体液性免疫に関する問題である。
f:樹状細胞が食作用により抗原を取り込む。
e:樹状細胞が抗原をヘルパーT細胞に提示する。
c:抗原を捕らえたB細胞は抗原を取り込み断片化して提示する。
b:ヘルパーT細胞によりB細胞は活性化される。
d:B細胞は抗体産生細胞(形質細胞)に分化し抗体を分泌する。
a:抗原と抗体が結合した複合体は食作用をもつ細胞により処理される。
体液性免疫と細胞性免疫の相違点はしっかりと把握しておこう!
B細胞や抗体産生細胞、抗体は体液性免疫のことを指し、キラーT細胞は細胞性免疫のことである。また、具体的例も押さえておこう。
体液性免疫は、即時型アレルギーである。花粉症や食物アレルギー、ぜんそく、ウイルスである。細胞性免疫は、遅延型アレルギーである。
ツベルクリン反応や金属アレルギー、漆によるかぶれ、拒絶反応、がん細胞、ウイルスに感染した細胞などがあげられる。
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