入試分析/解答速報
2024年01月26日
看護医療系専門進学塾の桜芽会です。
今回は、杏林大学 医学部(生物)解答・解説 です。
解答
Ⅰ
問1 ア-② 問2 イ-② 問3 ウ-③ 問4 エ-④ 問5 オ-③
問6 カ-④ 問7 キ-② 問8 ク-① 問9ケ-②
Ⅱ
問1(1)ア-⑥ (2)イ-③ (3)ウ-⑧ (4) エ-②
問2(1)オ-③ カ-① (2)キ-①・③ ク-②・④ (3)ケ-⑤ コ-② (4)サ-④
問3(1)シ-⑥ ス-⓪ (2)セ-④ ソ-⑤
Ⅲ
問1(1)ア-④ (2)イ-④ (3)ウ-② エ-⓪ (4)オ-①
問2(1)カ-①・② キ-①・⑥
Ⅳ
問1 ア-④・⑤ 問2 イ-⑥ 問3 ウ-③ 問4 エ-③ 問5 オ-① カ-④
解説
Ⅰ
問1
① 環形動物は,旧口動物・冠輪動物である。また,体節構造をもつことや,トロコフォア幼生の時期を経ることも押さえておきたい。
② 棘皮動物は,新口動物である。
③ 節足動物は,旧口動物・脱皮動物である。また,体節構造をもつことを押さえておきたい。
④ 線形動物は,旧口動物・脱皮動物である。
⑤ 軟体動物は,旧口動物・冠輪動物である。また,外套膜(がいとうまく)をもつことも押さえておきたい。
下の内容は,覚えておきましょう。
胚葉 | 体腔 | 代表例 | |
海綿動物 | 無胚葉 | 無体腔 | ~カイメン,カイロウドウケツ |
刺胞動物 | 二胚葉 | イソギンチャク,クラゲ,ヒドラ,サンゴ | |
扁形動物 | 三胚葉 | プラナリア,コウガイビル | |
軟体動物 | 真体腔 | マイマイ,ハマグリ,サザエ,タコ,イカ | |
環形動物 | ゴカイ,ミミズ,ヒル | ||
輪形動物 | 偽体腔 | ワムシ | |
線形動物 | センチュウ,ハリガネムシ | ||
節足動物 | 真体腔 | 甲殻類,昆虫類,ムカデ,クモ | |
棘皮動物 | ウニ,ナマコ,ヒトデ | ||
原索動物 | ホヤ,ナメクジウオ | ||
脊椎動物 | 魚類,両性類,爬虫類,鳥類,哺乳類 |
問2
減数分裂第一分裂前期に,相同染色体が対合し,二価染色体となる。また,その時期に「乗換え」が起こる。
問3
① アクアポリン(水チャネル)は,チャネルなので,受動輸送である。そのため,ATPは必要ない。
② ATP合成酵素には,ATPは必要ない。
③ 細胞骨格におけるモータータンパク質は全てATPが必要である。鞭毛の屈曲運動にも必要である。
④ DNAポリメラーゼによるヌクレオチドの鎖の伸長に関してもATPは必要ない。
問4
① 核膜は二重膜の生体膜でできているため,正しい。
② 核小体は,リボソームRNAの転写とリボソームの組み立てを行っているため,正しい。
③ 核内で転写が行われることがわかると,核内にDNAとRNAの両方が含まれることがわかる。
④ 小胞体は,核膜の外膜とつながっているため,核の内部ともつながっていない。
そのため,核膜孔も通じていないことがわかる。
問5
① 光合成によるガスの損失を防ぐために,気孔を閉じないので誤りである。
② 孔辺細胞から,K⁺が流出することによって水が流出し,孔辺細胞の膨圧が下がると気孔が閉じる。
④ フォトトロピンが受容する光は赤色光でなく,青色光である。クリプトクロムも青色光であることとフィトクロムが赤色光であることも押さえておきたい。
問6
① 精細胞1つは,極核を持つ中央細胞と合体して胚乳になる。
② 精細胞2つは,雄原細胞が体細胞分裂することによりつくられる。
③ 反足細胞は重複受精によってつくられず,胚のう細胞が核分裂することでつくられる。
問7
② 自然選択は個体の表現型(形質)に対して働く。生存や生殖に有利な形質をもつものが次世代の個体を多く残しやすく,不利な形質をもつものは子を残しにくい。
問8
① 学名は,属名と種小名を併記する。属名の後ろに種小名をかく。
問9
① ネアンデルタール人は新人ではなく,旧人である。
③ アウストラロピテクスは類人猿ではなく,猿人である。
④ ホモ・サピエンスは旧人ではなく,新人である。
正誤問題の問題文の後半部分に細かい知識の部分が記載されているが,そもそも分類に注目することで答えを出すことができる。また,細かい知識の部分は,すべて正しい文章である。
Ⅱ
問1
図に示された脳の①~⑧の名称は,
①大脳 ②脳梁 ③間脳 ④脳下垂体 ⑤中脳 ⑥小脳 ⑦橋 ⑧延髄 である。
しっかりと場所と役割まで押さえておきたい。
(1)は,随意運動・体の平衡を保つ中枢という記述から小脳であることがわかる。
(2)は,自律神経の中枢・体温・血糖濃度・摂食・睡眠という記述から間脳であることがわかる。
(3)は,呼吸運動・心臓の拍動・生命の維持という記述から延髄であることがわかる。
(4)は,大脳半球を左右で連絡する場所は,脳梁である。
問2
(1)(2)(3)(4)
A:広葉型 B:イネ科型
広葉型では,水平で広い葉が上部に集まり,光が下部まで届きにくい。光合成器官は上部に集まる。
イネ科型では,細長い葉が斜めについているので,光が区画の下部まで入る。光合成器官は比較的下部まで分布する。
上記の内容と光合成器官(葉)と非同化器官(茎・枝など)の分布から判断することができる。
広葉型の代表例は,アカザ・ミゾソバ・オナモミ・ダイズ・ヒナタイノコズチである。
イネ科型の代表例は,ススキ・チガヤ・アシである。
問3
「塩基(個)」なのか「塩基対(bp)」に注意が必要な問題である。
(1)
DNA全体の分子量が3.6×109,ヌクレオチドの平均分子量は3.0×102である。
ヌクレオチド数は,3.6×109÷3.0×102=1.2×107である。
ただし,問題になっているのは,塩基対数であるため,
1.2×107÷2=6.0×106塩基対である。
(2)
まず,この問題は,遺伝子の数を答える問題である。
定義として,1つの遺伝子数は1種類のタンパク質である。
つまり,何種類のタンパク質ができるかを調べたいということを念頭に置きながら問題を解いていく。
つまり,アミノ酸の分子量があたえられているので,
(アミノ酸の数)×(アミノ酸の分子量)÷(タンパク質の平均分子量)をすることで,求めることができる。
翻訳される部分が90%であるため,6.0×106塩基対×90/100=5.4×106塩基対
5.4×106塩基対÷3=1.8×106←アミノ酸の数
1.8×106×1.2×102=2.16×108←タンパク質全体の分子量
2.16×108÷4.8×104=4.5×103種類と求めることができる。
Ⅲ
問1
(1) 「薬剤Xの投与前」と問題文にあるため,グルコースの再吸収量は300mgである。
1分間に100mgのグルコースが尿中に排出されるということは,
原尿中に含まれるグルコース量は,再吸収量と合計の400mgである。
よって,血しょう中のグルコース濃度は,100%ろ過されていることから,400mg/100mLである。
(2) 「薬剤Xの投与後」と問題文にあるため,グルコースの再吸収量は,200mgである。それ以上にろ過量が増えた場合は,尿中にグルコースが排出される。
(3) 与えられた定義の公式により,
薬剤Xの投与前は100/400×100(%)
薬剤Xの投与後は200/400×100(%)
より,2.0倍であることがわかる。
(4)薬剤Xを投与することによって再吸収量が減少していることがわかる。
つまり,尿中にグルコースを多く排出することになる。
よって,血しょう中のグルコース濃度を低下させる。
問2
(1) 遺伝子Ⅰと遺伝子Ⅱの塩基は,(1・2)(3・4)(5・6)(7・8)で一致しており,
出現頻度が高いものから,同一染色体上にあることがわかる。
また,遺伝子Ⅲが異なる染色体上に存在することもわかる。
(2)出現頻度から,CAとTTが連鎖していることがわかる。
よって,乗換えによって,CTとTAが生じたと考えられる。
Ⅳ
問1
一本鎖が与えられているので,二本鎖になおす必要がある問題である。
5’-GTTCTTGTT~ATGAGAATC-3’
3’-CAAGAACAA~TACTCTTAG-5’
上記に対応するプライマーを選択肢から選べばよい。
問2
受容体αを阻害した結果,
インターロイキン-6の放出量が下がっているタンパク質Sは,受容体αで受容されると判断できる。
受容体βを阻害した結果,
インターロイキン-6の放出量が下がっているタンパク質Eは,受容体βで受容されると判断できる。
受容体α・βを阻害した結果,
インターロイキン-6の放出量が下がっているタンパク質Nは,受容体α・βの両方で受容されると判断できる。
問4・5
実験3の結果に「インターロイキン-6の放出量が多いワクチンほど大きかった」書かれている。
実験2の結果から,インターロイキン-6の放出量が高い順並べると,E・S・N・溶媒のみという順である。
グラフ内の曲線Ⅰ~Ⅳは,抗体濃度,ウイルス量,マクロファージ数,T細胞数のいずれかである。
まず,曲線を特定していく。曲線Ⅳは,全てのグラフで変化がない。そこから,自然免疫で働くマクロファージであると考えられる。また,初期段階から増加傾向にあることや,曲線Ⅰ・Ⅱの増加に伴って減少している曲線Ⅲがウイルス量であることが特定できる。また,抗体産生に時間がかかることを考慮すると,抗体濃度が曲線Ⅰであることがわかり,T細胞数は曲線Ⅱであることがわかる。
講評
大問数は昨年度と変わりない。小問集合で確実に点数を取りたい問題であった。脳の問題と生産構造図も問題で差が出てしまったように思える。考察問題に関しては,1つずつ整理していくことが大事である。しっかりと復習して,次の医学部入試に備えたい。
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