入試分析/解答速報
2024年02月08日
看護医療系専門進学塾の桜芽会です。
桜芽会では、各大学の看護系学科について、入試問題の解答解説を載せていきます。
今回は、2024年度 文京学院大学 一般選抜Ⅰ期(生物)の解答解説を載せます。
文京学院大学を志望している生徒は是非参考にしてください!
【講評】
例年通りの出題形式であった。基本的な問題が多く,どれだけ教科書に内容を正確に押さえられているかが大事になる問題であった。
Ⅰ 標準:レーウィの実験に関する問題であった。初見だとやや解きにくいかもしれないが,有名な実験なのでしっかりとおさえておきたい。
Ⅱ 標準:暖かさの指数に関する問題であった。丁寧に計算すれば十分に得点できる。
Ⅲ 易:過酸化水素の分解反応の実験に関する問題であった。教科書レベルの有名な実験であるため,確実に得点したい。
Ⅳ 標準:花芽形成に関する問題であった。日長の長さと開花日数のグラフの読み取りができたかどうかで差がつくと考えられる。
Ⅴ 標準:神経に関する問題であった。様々な動物の神経系や脊椎動物の脳の違いなどやや細かい知識を必要としたが,それ以外は基本的な知識を問う問題である。
【解答】
Ⅰ
問1 ア:② イ:⑤ ウ:⑨ エ:⑦ オ:① 問2 ① 問3 ②
問4 ①,④ 問5 ⑤
Ⅱ
問1 地域A:① 地域B:⑤ 問2 地域A:④ 地域B:③
問3 ③ 問4 地域A:③ 地域B:⑥
Ⅲ
問1 ⑥ 問2 ① 問3 ③ 問4 ④ 問5 ③
Ⅳ
問1 ⓪ 問2 ②,⑤ 問3 ④ 問4 ② 問5 ⑦
Ⅴ
問1 ア:② イ:⑤ ウ:④ エ:① 問2 ④ 問3 ③ 問4 ⑤
問5 ア:② イ:④ ウ:① エ:⑥ オ:⑤
問6 ア:③ イ:① ウ:④ エ:⑤ オ:②
問7 鳥類:③ 両生類:② 魚類:①
【解説】
Ⅰ
問1
(ア)・(イ) 自律神経系の中枢は間脳の視床下部である。
(ウ) 交感神経と副交感神経は互いに拮抗的に作用する。
(エ)・(オ) 交感神経はすべて脊髄から,副交感神経は中脳・延髄・脊髄の下部(仙髄)から出て気管に作用する。
問2・問3
心臓Aに繋がった副交感神経を刺激すると,副交感神経の末端からアセチルコリンが放出される。放出されたアセチルコリンは心臓Aに作用して拍動を抑制する。さらに,そのアセチルコリンは心臓Aから拍出されるリンガー液(体液と同様のイオン組成・浸透圧の溶液)とともに心臓Bに流入して,心臓Bの拍動を抑制する。以上をふまえて,心臓Aの拍動が抑制され,それに次いで心臓Bの拍動が抑制されているグラフを選択すればよい。
問4 自律神経系の作用は以下のとおりである。
心臓の拍動 | 気管支 | ぜん動(消化) | 排尿 | 瞳孔 | 立毛筋 | 血管 | 発汗 | |
交感神経 | 促進 | 拡大 | 抑制 | 抑制 | 拡大 | 収縮 | 収縮 | 促進 |
副交感神経 | 抑制 | 縮小 | 促進 | 促進 | 縮小 | ― | ― | ― |
問5 自律神経による調節は,即効性があるが持続性はない。
ホルモンによる調節は,即効性はないが持続性がある。また,少量で効果が現れる。
Ⅱ
問1 暖かさの指数は「月平均気温が5℃以上の月の気温」から5を差し引いた値の合計である。
地域A
…1月・2月・3月・11月・12月は平均気温が5℃未満であるため考慮しなくてよい。
4月~10月の各月の平均気温から5を引いて合計すると,
0.6+5.6+9.5+13.4+14.2+11.2+3.8=58.3 となる。
地域B
…1月~12月すべての月で平均気温が5℃以上であるため,各月の平均気温から5を引いて合計すると,
0.9+1.2+4.1+11.3+13.3+16.3+20+21.7=128.6 となる。
問2 問1の暖かさの指数より,地域Aでは夏緑樹林が,地域Bでは照葉樹林が形成されていると分かる。したがって,地域Aの優占種はブナ,地域Bの優占種はスダジイである。
問3 同じ緯度でもバイオームが異なるのは,標高の違いによる気温の差が原因である。このように,標高の違いによるバイオームの変化を垂直分布という。
問4 地域Aと地域Bにおいて,各月の平均気温が4℃上昇した後の暖かさの指数を求めればよい。
平均気温が4℃上昇した後の各月の平均気温は以下のようになる。
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
地域A | -1.3 | -0.9 | 3.2 | 9.6 | 14.6 | 18.5 | 22.4 | 23.2 | 19.2 | 12.8 | 7.5 | 2.0 |
地域B | 9.9 | 10.2 | 13.1 | 18.3 | 22.3 | 25.3 | 29.0 | 30.7 | 27.3 | 22.0 | 17.0 | 12.5 |
ここから,改めて暖かさの指数を算出すると,
地域A=87.8(照葉樹林),地域B=187.6(亜熱帯多雨林) となる。
Ⅲ
各試験管(A~F)で起こる反応は以下の通りである。
また,過酸化水素水の分解反応は次のような反応式で示される。
2H2O2→2H20+O2
試験管A:石英砂は過酸化水素水の分解を触媒しないため,何の変化もみられない。
試験管B:酸化マンガン(Ⅳ)は過酸化水素水の分解反応を触媒する無機触媒であるため,過酸化水素の分解反応が起こり,気泡(酸素)が生じる。
試験管C:すりおろしダイコンには過酸化水素水の分解反応を促進する酵素(カタラーゼ)が含まれるため,過酸化水素の分解反応が起こり,気泡(酸素)が生じる。
試験管D:石英砂は過酸化水素水の分解を触媒しないため,何の変化もみられない。
試験管E:酸化マンガン(Ⅳ)は無機触媒であるため,煮沸しても性質は一切変化せず,過酸化水素の分解反応が起こり,気泡(酸素)が生じる。
試験管F:すりおろしダイコンに含まれるカタラーゼは酵素であり,タンパク質を主成分とするため,煮沸すると熱変性して失活するため,過酸化水素の分解反応は起こらない。
問1 上記をふまえると,気泡が発生するものは試験管B・C・Eであると分かる。
問2 気泡が発生しなくなった試験管内では,基質である過酸化水素がすべて分解されている。
そのため,試験管B・C・Eにすりおろしダイコンを加えても基質が存在しないため新たに気泡は発生しない。それに対して,試験管A・D・Fでは過酸化水素水は分解されずに残っているため,すりおろしダイコンを加えると,カタラーゼにより過酸化水素水の分解反応が触媒されて新たに気泡が生じる。
問3 上記の反応式のように,過酸化水素水を分解すると酸素が発生する。そのため,発生した気体が酸素であることを確認すればよい。
問4 すりおろしダイコンや,動物の肝臓片には過酸化水素を分解する酵素であるカタラーゼが含まれている。
問5 触媒とは,「活性化エネルギーを低下させて化学反応を促進し,反応の前後で自身は変化しない」物質を指す。
Ⅳ
まず,日長と花芽形成の関係を以下で整理する。
・長日植物:限界暗期よりも短い連続暗期が与えられる長日条件で花芽形成する植物。
ダイコン・アブラナ・コムギ・カーネーション・キャベツなど
・短日植物:限界暗期よりも長い連続暗期が与えられる短日条件で花芽形成する植物。
アサガオ・ダイズ・キク・イネ・オナモミ・コスモス・サツマイモなど
・中性植物:日長に関係なく花芽形成する植物。
トマト・ナス・キュウリ・トウモロコシ・ソバなど
次に,図中の植物a~eについて整理しておく。
・植物a:日長の長さに関わらず約20日で開花することから中性植物であると分かる。
・植物b:日長が長いほど開花に要する日数は少なく,日長が短いほど開花に要する日数が多いことから長日植物であると分かる。
・植物c:日長が長いほど開花に要する日数は少なく,日長が短いほど開花に要する日数が多いことから長日植物であると分かる。限界暗期は12時間。
・植物d:日長が長いほど開花に要する日数は多く,日長が短いほど開花に要する日数が少ないことから短日植物であると分かる。限界暗期は18時間。
・植物e:日長が長いほど開花に要する日数は多く,日長が短いほど開花に要する日数が少ないことから短日植物であると分かる。
問1 上記をふまえて,短日植物はdとeである。
問2 植物aは中性植物であるため,選択肢の中から中性植物を選べばよい。
問3 日長時間を18時間にした場合の花芽形成の様子は以下の通りである。
・植物a:約20日で開花する。
・植物b:約35日で開花する。
・植物c:約45日で開花する。
・植物d:開花しない。
・植物e:約45日で開花する。
問4 設問文中に「秋に開花する花」とあるため,「日長が短くなったら開花する=短日植物」と考えればよい。短日植物の開花時期を遅らせるには,日長時間を長くすればよい。
問5 花芽形成を促進するホルモンはフロリゲンである。
Ⅴ
問1
(ア) 細胞体から短く枝分かれする構造は樹状突起である。
(イ) ヒドラやクラゲなどの刺胞動物門の神経系は散在神経系である。
(ウ)・(エ) 脊椎動物門の神経系は集中神経系であり,その中でも管状神経系という神経系を持つ。
動物 | ||
散在神経系 | ヒドラ・クラゲ | |
集中神経系 | かご形神経系 | プラナリア |
はしご形神経系 | 節足動物・環形動物 | |
管状神経系 | 脊椎動物 |
問2 ニューロンとニューロンの連結部分はシナプスといい,運動ニューロンと筋肉の連結部分は特に神経筋接合部と呼ばれる。
問3 興奮の伝達は,以下のように行われる。
(1) 軸索末端まで興奮が伝導すると,電位依存性Ca2+チャネルが開き,Ca2+が流入する。
(2) 細胞内のCa2+濃度が高まると,シナプス小胞が刺激されて細胞膜と融合する。
(3) シナプス間隙に神経伝達物質が放出される。(エキソサイトーシス)
(4) 放出された神経伝達物質は,次のニューロンや筋肉の細胞膜表面にある伝達物質依存性チャネル(リガンド依存性チャネル)と結合する。
(5) 膜電位が変化する。
・Na+が流入→脱分極性の電位変化(⇒興奮性シナプス後電位:EPSP)が生じる。
・Cl-が流入→過分極性の電位変化(⇒抑制性シナプス後電位:IPSP)が生じる。
問4 図より,興奮が起こる順番を考えていけばよい。
・ニューロンaを刺激すると次にニューロンbが興奮することから,「a→b」と分かる。
・ニューロンbが興奮すると次にニューロンdとニューロンfが同時に興奮することから,「b→d」「b→f」と分かる。
この時点で,⑤が正しいと判断でき,ニューロンcやニューロンeとの関係にも矛盾がないことが分かる。
問5・7
まず,Aは魚類,Bは両生類,Cは鳥類,Dはヒトの脳である。これは,進化の過程で大脳が発達していくことを考えると推測することも可能である。また,脊椎動物の脳の構造については,Dのヒトの脳をもとに先に(イ)~(オ)を決定すればよい。(ア)については中脳か間脳かで悩むだろうが,図中の(ア)の下(左下)にある構造には脳下垂体が見られるため,(ア)は中脳だと判断できる。
問6 脳の各部のはたらきは以下の通りである。
・大脳:運動・感覚・思考・学習・本能・情緒などの中枢
・間脳:視床下部…恒常性・自律神経系の中枢
視床…感覚に関わる介在ニューロンの中継点(嗅覚以外)
・中脳:姿勢保持,眼球運動,瞳孔反射の中枢
・小脳:平衡感覚の中枢,運動の調節中枢
・延髄:心臓の拍動中枢,呼吸中枢,だ液や涙の分泌中枢,せき・くしゃみの中枢
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